山下陽光のアトム書房調査と
ミョウガの空き箱がiPhoneケースになる展覧会

2014118日(土)

・・・・・323日(日)

休館日 月曜日 (祝祭日は開館し翌日休館)

開館時間 10:00~17:00

入館料 一般 500円 (小学生以下・障がいのある方 無料)

会期中何度でも入場できるパスポート制チケット

鞆の津ミュージアム
〒720-0201 広島県福山市鞆町鞆271-1

    Concept Lang
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 2011年3月11日の東日本大震災以降、被災地の内外で様々な支援活動が行われる一方、私たちの目の前には原発と放射能という壁が露わになり、多くの人々が、今も立ち向かっています。震災から3年以上経ち、これからの未来を、私たちはどのように生き抜いていくべきか、改めて再考する時期にきています。この大いなる難題に一筋の光を与えてくれるのが、本展で取り上げる山下陽光(やました ひかる)の活動です。
 山下陽光(東京都在住/1977年生まれ)は、パフォーマンスグループ“トリオフォー”のメンバーであり、2011年には高円寺や渋谷、新宿などで、数万人規模の脱原発デモの司会を行ったり、「途中でやめる」というリメイク服を制作したりと、アーティストという枠を超え多彩な活動を展開してきました。卓越したアドリブセンスを兼ね備えたその話術は、彼の数々の行為を後押しし、多くの人々の心をつかんできました。
 そんな彼が、3.11以降、熱心に調査研究を行っているのは、原爆投下直後の広島で原爆ドーム前に現れた古書店「アトム書房」です。広島を地獄と化した「原子力」の語を店名に冠するセンス、爆心地に店を速攻で出してしまうテンションの高さ、古書のほか原爆で曲げられた瓶などを進駐軍相手に販売するという明確な反骨精神。こうした市民レベルの活動は、広島が平和復興の道を歩む中で歴史の闇に隠され、やがて見えなくなってしまいました。
 そこで本展では、現在進行形で進むアトム書房の調査研究資料を全国で初めて一堂に展示します。3.11以降、直接的な支援活動や原発デモ以外に、この困難な状況に対して立ち向かう新しい術があることを示すのが本展のねらいです。加えて、これまで関わってきた面白い事物も併せてご紹介します。
 彼の俊敏な行動力から生まれた数々の実践は、単なる歴史や文化の発掘というレベルに留まることはなく、追い込まれ閉塞感が漂う現代社会に対して、「ふざけんな」と言い続ける、そんな時代をたくましく生き抜くヒントを与えてくれることでしょう。

Hikaru Yamashita
Solo Exhibition:
A study of “Bookseller Atom”

 Since the Tōhoku earthquake and tsunami of 11 March 2011 (also known as the 3.11 Earthquake) and the resulting Fukushima Daiichi nuclear disaster, recovery efforts continue in and around the disaster-stricken area. Beyond this, many people have been confronting the issues surrounding the dangers of nuclear power and radioactivity that have been highlighted by the disaster. Three years have now passed since the 3.11 Earthquake and the time has come once more to think about how we want to approach our future. The activities of Hikaru Yamashita, whom we feature in this exhibition, shed light on this great problem.
 Hikaru Yamashita (born in 1977, living in Tokyo) is a member of the performance group Trio Four. He also remakes recycled clothing under his own brand Tochu de Yameru. Since 2011, he has acted as master of ceremonies for several demonstrations against nuclear power held in various areas of Tokyo such as Koenji, Shibuya and Shinjuku, involving tens of thousands of participants. His charisma has won him many fans. These activities transcend the conventional frame of the "artist."
 After the atomic bombing of Hiroshima in 1945, in the shadow of what was then the ruins of the Hiroshima Prefectural Industrial Promotion Hall (now the Atomic Bomb Dome), a second-hand bookstore appeared with the name Bookseller Atom. It is this store that has been Hikaru Yamashita's subject of enquiry since 2011. Of particular interest to Yamashita is the sense of humor required to name a store "Atom" in a Hiroshima that resembled hell, the energy summoned so quickly to open a store at ground zero and the great spirit of defiance to sell not only second-hand books but also bottles and other objects deformed by the atomic bomb. These citizen-led activities in the immediate aftermath of the bombing were quickly obscured by the peaceful reconstruction of Hiroshima and have been all but forgotten by history.
 This exhibition presents the results of Yamashita's investigation into Bookseller Atom, the first exhibition of its kind in Japan. The exhibition explores alternative ways to confront the aftermath of the 3.11 Earthquake, beyond direct recovery efforts or demonstrations against nuclear power.
 The exhibition will also present several other pieces by Yamashita. Not content with simply unearthing history or culture, or saying “fuck you” to a stifling modern society, Yamashita suggests ways to survive these hard times and confront the future.

見るだけじゃ
よくわからない
解説&物語だらけ
の展示物 (一部)

  • 「NOPPIN新聞」

    世界中のパソコンを壊す為、共藁半紙に手書きで
    友人たちと作り配る毎日新聞。

  • 「裏モノJAPAN」

    山下陽光が信頼する雑誌。
    読むだけにはとどまらず誌面を飛び越える。

  • 「チョロズム出版」

    本当に面白い本を知らない人へと回し読みさせ
    本を旅させるプロジェクト。

  • 「ファミカセいこかもどろか」

    カセットに書かれた名前の主に検索サイトを
    使えば本人にたどり着けるかを試みる。

  • 「Emma」

    週刊誌エンマ(廃刊)約30年前の誌面
    「広島銀行児島支店だよ、全員集合!」は時空を超える。

  • 「謄寫印刷新教本」

    謄写版(ガリ版)印刷の教本。どちらも謄写印刷で
    作られているのは同じだが大きく違う。

  • 「アトム書房調査」

    本展の多くを占める「アトム書房」調査・研究に
    関する沢山の解説と共に資料を公開します。

  • 「末川凡夫人」

    アトム書房を調査したことで知った
    画家「末川凡夫人」の発見された絵画も展示されます。

山下陽光の脳みそ
開きっぱなしトーク

会場 鞆こども園 (鞆の津ミュージアム裏手)
定員 各回100名(要事前申し込み・先着順)

※開場は開始時刻の30分前に行います。
※都合により中止となる場合があります。

お問い合わせ・ご予約
TEL: 084-970-5380
FAX: 084-970-5381
MAIL: info@abtm.jp

  • ①山下陽光×日比野克彦

    2014年1月19日(日) 15:00〜17:00
    参加費1,500円

    「あたらしいアートの可能性」

    80年代からアートの第一線を走り続け、発表の場を美術館やギャラリーから街の中へ、そしてTVなど多様なメディアへと広げていった日比野克彦と、リメイク服の制作・販売、インターネットを使ったラジオや映像プロジェクト、路上でのパフォーマンスなど広義のストリートで多彩な表現活動を続ける山下陽光。「日常の中にあるアート」を探し続ける2人が初めて顔を合わせたとき、どんな化学反応が起きるのか!

    katsuhiko hibino
    日比野 克彦
    (アーティスト)

    1958年、岐阜生まれ。東京藝術大学大学院修了。大学在学中にダンボール作品で注目を浴び、国内外で個展・グループ展を多数開催する他、パブリックアート・舞台美術など、多岐にわたる分野で活動中。近年は各地で一般参加者とその地域の特性を生かしたワークショップを多く行っている。

  • ②山下陽光×坂口恭平

    2014年1月26日(日) 17:00〜19:00
    参加費1,500円

    「これからの世界のつくりかた」

    震災後、熊本に「ゼロセンター」と呼ばれる拠点をつくり、そこに「新政府」を立ち上げた坂口恭平と、働かないでも暮らしていける世の中を模索する数々の実践を続ける山下陽光。これまでの経済のしくみを根源から疑い、その変革にむけて活動している同年代の2人が、未来を切り開く熱いトークを繰り広げる。

    kyohei sakaguchi
    坂口 恭平
    (建築家・作家)

    1978年、熊本生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家、作家、絵描き、踊り手、歌い手。2011年5月、新政府を樹立し、初代内閣総理大臣に就任。著書「独立国家のつくりかた」「幻年時代」など。近年、バンクーバー、ベルリンなどで個展を開催。

  • ③山下陽光×福住廉

    2014年2月23日(日) 17:00〜19:00
    参加費1,000円

    「山下陽光とは、何者だ!」

    ストリートで展開される表現行為など、既存の美術制度に収まりきらない活動についての批評を行う美術評論家の福住廉。早期から山下陽光の表現活動に注目してきた彼が、山下陽光のこれまでの活動を振り返りながら、芸術を日常の生活に取り戻すべく、「限界芸術」の視点から山下陽光を徹底分析!

    ren fukuzumi
    福住 廉
    (美術評論家)

    1975年、東京生まれ。著書に『今日の限界芸術』、共著に『文藝別冊坂口安吾』ほか多数。「artscape」、「共同通信」などに寄稿しつつ、「里山の限界芸術」展(まつだい「農舞台」)など展覧会の企画も手がける。現在、東京藝術大学・女子美術大学非常勤講師。

  • ④山下陽光×Chim↑Pom
    (エリイ・卯城竜太)

    2014年3月16日(日) 17:00〜19:00
    参加費1,500円

    「いま、ヒロシマから考える」

    2008年の「ピカッ」騒動以来、初めて広島での展覧会を開催するChim↑Pomと、アトム書房調査を続ける中で歴史の闇に埋もれていた広島の姿を掘り起こしている山下陽光。3.11以降、これからの私たちの生活のあり方をめぐって世の中がゆらめく中、原発や放射能の問題に対していち早く反応しアクティブな活動をしてきた2組が、広島の地でヒロシマについて考える。

    チン↑ポム
    Chim↑Pom

    2005年、卯城竜太・エリイ・林靖高・岡田将孝・水野俊紀・稲岡求の6名で結成したアーティスト集団。時代のリアルに反射神経で反応し、現代社会に全力で介入した強い社会的メッセージを持つ作品で知られる。彼らの活動への注目は国内にとどまらず、国際展をはじめ海外での発表も多い。

山下陽光の脳みそ
開きっぱなしトーク

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