花咲くジイさん 〜我が道を行く超経験者たち〜
花咲くジイさん 〜我が道を行く超経験者たち〜
瀬戸内の歴史的な港町・鞆の浦。この町も他の地方都市と同様、少子高齢化が進んでいます。16年後の2030年には、65歳以上の人口は日本人口全体の3割を超え、100歳以上の超高齢者は現在の5倍に達すると予想されるなど、いずれ「老人」が国民の少数派とはいえない存在となることは確実です。そのように我が国の平均寿命が延伸を続ける昨今、実際に、65歳を超えても自らを元気であると自認し、「現役」として活躍している人たちは数多くなってきています。これまで通り労働を続ける人、ボランティアなど社会貢献的な活動を始める人、趣味の世界をたのしむ人など、当然のことながら、「老人」のあり方も多種多様なのです。
そこで本展では、これから到来する高齢化社会の主役となる「老人」の表現に目を向けます。その中でも、長年自らの衝動のままにやりたいことを一貫してやり続け、高齢になってもその勢いを失わない人たちによる表現を一堂に集めご紹介します。同調圧力をもろともせず、たとえ自らの信ずる価値観が他人のそれとは異なろうとも、あくことなく我が道を行き続けるその不屈の精神は、いまある日常を別のかたちに変えていくための礎石となりえるものです。世界が未だ経験したことのない少子高齢化社会は、とかく暗いものを想像しがちですが、他人からの評価や対価にとらわれることなく、たのしく強烈に生きてきた彼らの姿にこそ、私たちがぜひとも見習わなくてはならない精神が満ちているのではないでしょうか。
本展が、年を重ねてなお力強い「老人」の生き方を示すことによって、私たちがこれからの社会を明るく生き抜いていく方法を考える契機となることを願います。
2014年8月16日(土) 〜 11月16日(日)
- 【開館時間】
- 午前10時〜午後5時
- 【休 館 日】
- 月、火曜日(但し、祝祭日は開館。9/17、9/24、10/15、11/5は振替休館。)
- 【観覧料金】
- 一般600円、小学生以下・障がいのある方 ・65歳以上の方無料
- 【主 催】
- 福山市文化芸術活性化事業実行委員会
- 【助 成】
- 公益財団法人福武財団 公益財団法人アサヒグループ芸術文化財団 一般財団法人 義倉
- 【特別協賛】
- アサヒビール株式会社
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堀尾 貞治
(ほりお さだはる)
1939年生まれ。1966年に具体美術協会会員となり、1972年の解散まで参加。1985年「あたりまえのこと」というコンセプトのもとに、様々なオブジェに毎日特定の色を一色塗り重ねる行為を開始、現在も継続中。
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蛭子 能収
(えびす よしかず)
1947年生まれ。漫画家・タレント。1973年に雑誌「ガロ」での入選を機に漫画家デビュー。不条理でシュールなギャク漫画で知られるとともに、世間的に認知される以前からの熱狂的なファンが多い。
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軸原 一男
(じくはら かずお)
1922年生まれ。老人ホームへ入居を機に、90歳から広告の裏紙などに絵を描き始める。一日20枚程度のスピードで描き続け、自由奔放な筆致が独自の画風を生み出している。
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糸井 貫二
(いとい かんじ)
1920年生まれ。通称・ダダカン。孤高の前衛芸術家。93歳を迎えた今でも、仙台の自宅「鬼放舎」にて、雑誌をペニス形に切り抜いて手紙と共に送るメールアートや訪問者への密やかな裸儀を続けている。
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沼 博志
(ぬま ひろし)
1933年生まれ。岡山県真庭市の自宅と果樹園を「パラダイス果樹園」と名付け、そこに自作のオブジェを設置。孫娘を喜ばせるため、園内にはロボット、UFO型オブジェやブランコのほか、お化け屋敷まで制作。
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堀内 辰男
(ほりうち たつお)
1940 年生まれ。定年退職を目前にパソコンを購入し、Excelでパソコン画を描き始める。「絵を数式でどこまで表現できるか」という理念のもと、「Excel」のオートシェイプ機能を駆使して風景画やアニメを制作。
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木下 将之将軍
(きのした まさゆきしょうぐん)
1944年生まれ。2002年より社会福祉法人翔の会に所属し、本格的に絵を描き始める。小学校の頃の「将軍」というあだ名が好きで、作品の裏には「将軍」と署名している。本人の希望で施設の公用車も「将軍号」と命名された。
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城田 貞夫
(じょうでん さだお)
1940年生まれ。42歳より広島県福山市でスナック「ジルバ」を開店。独学で身近な素材を使ったカラクリ人形やひとり芝居用の舞台セット、木彫り人形など多彩でエロス溢れる作品を作り続けている。
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長 恵
(ちょう めぐむ)
1942年生まれ。広島県内の福祉施設にて、障がいのある人たちの表現活動の支援に携わる。2007年に退職してからは、自宅にて絵を描き始める。クリスチャンとして、自分の生い立ちを描いた詩画や、独特な体型をした天使の絵画などを制作。
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大野 博司
(おおの ひろし)
1931年生まれ。広島県福山市で実家の自転車販売店を営む傍ら、改良した自作のラジコン・ヘリコプターにカメラを取り付け、妻と二人三脚で全国各地の航空写真を撮り続けている。
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ドクター・中松
(どくたーなかまつ)
1928年生まれ。発明家。本名は中松義郎。2005年には「35年間に渡り自分の食事を毎回撮影し、食べた物が脳の働きや体調に与える影響を分析し続けたこと」に対して、イグノーベル賞の栄養学賞が贈られた。
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小川 卓一
(おがわ たくいち)
1921年生まれ。定年退職後より精力的な創作活動を開始する。80歳代後半からは独学で石彫を始め、本物そっくりの食べ物や人体など石の造形物を制作。私設美術館「ふりむきやかた」にて膨大な量の絵画や立体作品を展示している。
蛭子能収×根本敬トークショー「蛭子能収解体新書」
会 場/ 鞆こども園 (鞆の津ミュージアム裏手)
参加費/ 2000円
定 員/ 100名(要事前申し込み・先着順)
※開場は開始時刻の30分前に行います。
※都合により中止となる場合があります。
蛭子ウォッチャーとしても知られる特殊漫画家・根本敬氏が、世間一般に「いい人」として知られる蛭子能収氏の仮面の裏に隠された狂気について語る。
根本敬 プロフィール
自称・特殊漫画家。「因果者」「イイ顔」「電波系」「ゴミ屋敷」などといったキーワードを作り出し、悪趣味系のサブカルチャーへ与えた影響は大きい。
椹木野衣トークショー
会 場/ 鞆こども園 (鞆の津ミュージアム裏手)
参加費/ 1500円
定 員/ 100名(要事前申し込み・先着順)
※開場は開始時刻の30分前に行います。
※都合により中止となる場合があります。
本展出展者の糸井貫二など、その人生全体と作品とが不即不離の関係にあるような表現者についての論考を重ねてきた美術評論家 椹木野衣が、私たち生そのものとしての芸術について語る。
椹木野衣 プロフィール
1962年、埼玉県生まれ。美術評論家、多摩美術大学美術学部教授。評論のほかに、新たな視点で話題を呼んだ展覧会「日本ゼロ年」「アノーマリー」などを企画。主な著書に『シミュレーショニズム』『日本・現代・美術』『戦争と万博』『反アート入門』など。近年は岡本太郎の再評価や戦争記録画の再考にも力を注ぐ。長編評論「後美術論」を『美術手帖』に連載中。
杉作J太郎×やついいちろうトークショー「老人への道」
会 場/ 鞆こども園 (鞆の津ミュージアム裏手)
参加費/ 2000円
定 員/ 100名(要事前申し込み・先着順)
※開場は開始時刻の30分前に行います。
※都合により中止となる場合があります。
杉作J太郎とやついいちろうの夢の対談が実現。果たして人間は老いるのか?超高齢化社会を語りつくす?当日は当然ながら大幅に話が脱線する可能性あり!!
杉作J太郎 プロフィール
1961年、愛媛県生まれ。映画監督、マンガ家、タレント、ミュージシャン、作家、現代芸術家。「男の墓場プロダクション」代表。
2012年秋、鞆の津ミュージアムで開催されたグル―プ展「LOVE LOVE
SHOW」で自身のアイドル部屋を忠実に再現し、現代美術家デビューを果たす。映画作品に「任侠秘録人間狩り」「怪奇!!幽霊スナック殴り込み!」など、著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』(扶桑社)『恋と股間』(イーストプレス)『杉作J太郎の考えていること』(青林工藝舎)など。http://www.otokonohakaba.com
やついいちろう プロフィール
1997年、エレキコミックを結成。お笑いと並行してDJとしても活動。フジテレビNEXTライブ・プレミアムとBSフジで「YATSUI FESTIVAL! 2014」の放送が決定!
TBSラジオ「エレ片のコント太郎」、NOTTV「#エンダン」、NHK「シャキーン!」、NHKラジオ第一「すっぴん!」がレギュラー放送中。6枚目MIX-CD「PARTY」がビクターエンタテインメントにて発売中。
超経験者が語る鞆の浦 探訪ツアー
会 場/ 鞆の浦周辺
参加費/ 無料
定 員/ 15名(要申込)
内 容/鞆の浦に暮らす超経験者たちを訪ね、お話を伺います。
鞆の浦の個人史が紐解かれることで、また鞆の浦の新たな魅力が発見できるかも。
「ジルバ」からくり演劇バスツアー
会 場/ 「ジルバ」
参加費/ 2,000円(飲食代別。食事は各自持ち込みも可)
定 員/ 20名(要申込)
内 容/ 出展作家・城田貞夫さんの経営するスナック「ジルバ」に行って、自作のカラクリ人形やそそり立つ木彫りオブジェを鑑賞した後、カラクリ人形との一人芝居を堪能しよう。我が道を行く名人芸を目撃せよ!
行 程/
※諸事情により変更することがあります。添乗員は同行しませんが、美術館職員が同行します。福山駅釣り人の像前集合(13:00)→スナックジルバ(13:30〜16:30)→福山駅解散(17:00)