《 ごあいさつ 》
本展は、堀尾 聡さんが生前に創作した切り絵作品を一堂に集め、お伝えするものです。聡さんは1961年 広島県豊田郡瀬戸田町(現・尾道市瀬戸田町)生まれ。小学校へ入学後に筋ジストロフィーを発症しますが、12歳頃より、便箋と裁ちばさみを使って切り絵の創作を独学で開始し、20歳で亡くなるまでの間に無数の作品を遺されました。
左右対称で太くたくましい手足のある力強い怪獣やロボット。あるいは、昆虫などの生き物をモチーフにした複雑で精妙な姿かたち。そして、樹木や仏様や鳳凰などなど。多様な生命体が図鑑のように整然と並ぶ聡さんの切り絵は当時、地元の新聞や全国版の学習雑誌に紹介されて話題となります。1976年、町長から作品寄贈の依頼を受けた聡さんと父親の平安喜さんは、地元の小中学校8校へ額装された切り絵を寄贈。その後、寄贈先だった各学校の統廃合や解体が1990年代以降に進められる中、解体直前の廃校舎内に長い間放置されていたそれら額装作品のうちのひとつが、尾道空き家再生プロジェクトのメンバーによって2011年に救い出されました。発見された作品は尾道にある空き家再生店舗でひそかに飾られていましたが、それがきっかけとなり、2023年に開催した当館企画展《日曜の制作学》への出品が実現します。翌年に開かれた故郷・瀬戸田での小さな個展を経て、2026年には、現存する切り絵をほぼ全点収録した作品集『堀尾 聡 切り絵の世界 | SATOSHI HORIO THE WORLD OF PAPER-CUT ARTWORKS』が当館による編集のもと、父・平安喜さんによって自費出版されました。
同書発行に合わせて開催する本展には、作品集と同じく、聡さんが生み出した作品のうち現存するほぼ全てとなる500体以上の切り絵や関連資料が集まっています。病のために学校へ行くことができなかったという意味で、聡さんは終わることのない〈日曜〉を常に強いられていたとするならば、これらの切り絵は、その長い〈日曜〉に続けた制作の賜物だといえるかもしれません。「世界一になりたい」と語ることもあったという聡さんは、創作への没頭という生きるたのしみを見出し、他に類のない独自の切り絵世界をこの世に出現させました。本展は、制作から約50年という時を経て、その驚くべき切り絵の全容をお伝えする初めての機会となります。皆さま、ぜひどうぞご覧ください。
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企画展|堀尾 聡 切り絵の世界
会期|2025年 5月 23日(土) ~ 9月 27日(日)
時間|10:00 ~ 17:00
休館日|月・火曜 (ただし祝日は開館) ※ 入場無料
主催|社会福祉法人 創樹会 鞆の津ミュージアム
協力|堀尾 平安喜、 野田 恵、 つるけんたろう
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