<鞆の津ミュージアム自主企画展>
私たちの身のまわりには、差別や偏見、それにもとづくヘイトスピーチなど、個別の生を蔑ろにする不可視の暴力や対立が日常的に存在しています。また現在でも、世界各地で命を奪い合う非道な戦争や争いは絶えることがありません。そのように、私たちの存在を交換可能な「数」として無きものとする態度には、私たちがそれぞれ様々なことを感じ思う心身をそなえた生身の人間である、という当然の事実への想像力が欠如しているのではないでしょうか。
本展は、原子爆弾で被爆した経験を持つ方や戦争経験者が自身の体験をもとに自作した創作物をはじめ、直接の戦争経験はない世代の者たちが制作した核や戦争やその記憶にまつわる表現を展示するものです。
ひとりの市民が現にこの世で体験した尋常ならざる現実にもとづく表現は、そこで感じられた「現場」の様子を伝えようとする一人称の伝言に他なりません。それは、不条理な仕方で奪われてしまった生の記録であると同時に、心に秘められている多様な想いや記憶を映し出す鏡でもあります。私たちは、自分が感じたことを直接には他者と分有できないという意味で、極めて「孤独」な存在と言えるでしょう。しかし、私たちはこの鏡を通じて個別の生とその記憶にふれることで、今ある言葉やかたちには現すことさえできないような空前絶後の現実を想像し、そのような経験を受け継いでいく機会を手に入れることができるはずです。
生の固有性をめぐるこのような交感を行う中で、私たちは互いの生を尊重し、共に在るための方法を考え始めることができるのかもしれません。
《出展作家》
廣中 正樹、辛木 行夫、横田 礼右、藤登 弘郎、岡田 黎子、ゆだ苑所蔵「被爆者の絵」、ジミー・ツトム・ミリキタニ、ガタロ、大江 泰喜、岡部 昌生、瀬尾 夏美、鈴木 智、平井 有太、A3BC:反戦・反核・版画コレクティブ、
広島県立福山工業高等学校電子機械科 計算技術研究部、広島平和記念資料館所蔵「原爆の絵」(複製)
<展覧会基本情報>
会期:2017年5月3日(水・祝)〜 8月20日(日)
開館:10:00-17:00
休館日:月・火曜日(祝祭日は開館)
観覧料:無料
主催:社会福祉法人創樹会
鞆の津ミュージアム
協力:福山市人権平和資料館、広島県立図書館、大久野島毒ガス資料館、広島県立福山工業高等学校電子機械科
計算技術研究部、福山大学人間文化学部 メディア・映像学科、gallery
G、ボーダレスアートスペースHAP、Irregular Rhythm Asylum、広島平和記念資料館、一般財団法人 山口県原爆被爆者支援センターゆだ苑、立命館大学
国際平和ミュージアム、辛木哲夫、マサ・ヨシカワ、表具処 軸源
助成:公益財団法人 福武財団
◉出展作家紹介◉
※出展作家の画像をクリックすると詳細がご覧いただけます。
廣中 正樹ひろなか まさき | 辛木 行夫 からき ゆきお | 横田 礼右 よこた ひろすけ | 藤登 弘郎 ふじと ひろお |
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岡田 黎子 おかだ れいこ | ゆだ苑所蔵「被爆者の絵」 | ガタロ | 大江 泰喜 おおえ やすき |
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岡部 昌生 おかべ まさお | ジミー・ツトム・ミリキタニ | 平井 有太 ひらいゆうた | 瀬尾 夏美 せお なつみ |
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鈴木 智 すずき さとる | A3BC:反戦・反核・ 版画コレクティブ |
広島県立福山工業高等学校 電子機械科 計算技術研究部 |
広島平和記念資料館所蔵 「原爆の絵」(複製) |
◉イベント情報◉
5月13日(土) 18:00-19:30 『椹木野衣 トークイベント』
6月17日(土) 16:00-17:00 『ガタロ トークイベント』
7月 8日(土) 13:30-17:00 『A3BC 木版画ワークショップ』
8月17日(木) 14:00-16:00 『VR体験イベント』
8月20日(日) 13:00-14:00 『廣中正樹 トークイベント』
※展覧会・イベントは、全て終了いたしました。たくさんの方のご来場、誠にありがとうございました。
みなさまのご来館、お待ちしております。
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